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家族が集まる年末年始に遺産分割協議をしましょう!

こんばんは

税理士の杉山です。

昨日仕事納めで、今日から年末年始の休暇を迎える人も多いのではないでしょうか。
年末年始といえば、数少ない家族が集まる機会です。

相続において最も重要であり、時に困難な「遺産分割協議」はこのような機会を逃すとなかなか完了までには苦労するものです。
この類の話は、気が進まないものですが、必ずやらないといけないものです。

今回は相続税申告期限(相続開始から10か月以内)までに、遺産分割協議がまとまらなかった場合(これを「未分割」と言います。)のお話をします。

 

1.未分割の場合の相続税の取り扱い


相続税の申告は、遺産分割協議が確定していなくても、申告期限までに申告及び納付をすることが必要です。その後、遺産分割協議が確定したときに、更正の請求又は修正申告をすることになります。

未分割の場合には、民法の規定による相続分等の割合に従ってその財産を取得したものとして相続税の計算をします。

最も問題になるのは、納税資金の確保です。
実務上、相続した財産(現預金等)を原資として納税することが多いのですが、未分割のままですと、凍結された預金の口座から納税資金を引き出すことが出来ないことになります。
※民法改正で、2019年7月以降は、預貯金の仮払い制度というものが出来、それぞれの預貯金債権の額の3分の1に、払戻しを求める相続人の法定相続分を乗じた額については、払い出しが出来るようになっています。なお、金融機関ごとに上限額が設定されているので、注意が必要です。

 

2. 未分割申告の場合の特例適用の可否


遺産分割協議が特例の適用要件となっているものは、主に下記の2つです。

したがって、未分割の場合は特例の適用を受けることが出来ないことになります。

 

(1) 配偶者に対する相続税額の軽減


配偶者については、法定相続分又は1億6千万円のいずれか多い金額までは相続税がかからないという特例です。

 

(2) 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例


個人が、相続等により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業用又は居住用の宅地等のうち、一定の限度面積までの金額については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、80%又は50%の減額をすることが出来る特例です。

限度面積と減額される割合は下記のとおりです。

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・被相続人の事業用(貸付以外) ⇒ 限度面積:400㎡、控除割合:80%

・被相続人の貸付事業用     ⇒ 限度面積:200㎡、控除割合:50%

・被相続人の居住用       ⇒ 限度面積:330㎡、控除割合:80%

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(3) 分割見込書の提出


上記で未分割の場合には、特例の適用は出来ないと書きましたが、相続税申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した場合において、申告期限から3年以内に遺産分割協議が確定したときには、更正の請求等によりこれらの規定の適用を受けることが出来ます。

 

3. 結論


未分割の場合には、最終的には分割見込書を提出しておくことにより、特例の適用を受けることは可能ですが、一旦申告期限までに申告と納税が必要なります。

納税資金の不足を避けるためにも、申告期限までに遺産分割協議を完了させることが非常に重要になってきます。

また、相続人間での遺産分割協議が困難なことが想定される場合には、生前に遺言の作成をしておくことを強くおすすめ致します。

故人も見守ってくれている実家でみんなが集まって、納得いく協議をすることで、故人も改めて安心して天国にいけることでしょう。

 
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